民博再訪

万博記念公園にある民族学博物館には、小学生の頃行ったことがある。黒川紀章のトレードマークである利休鼠色の外壁をもつ建物だ。
小学校の時、私はここで「干し首」を見た。小さなリンゴ程度の大きさに縮められた人間の頭を間近に見て、小学生の私は、呪われたような気がした。子供の頃の生々しい恐怖の思い出のひとつ。
参考:干し首の作り方
後で知ったところでは、どうやら私が見たのはレプリカだったらしい(最初は本物を展示していたが、臭いがするので差し替えたという話)。でも当時は本物を見てしまったと思ったのだよ。
あの干し首に再会しようと思って、民族学博物館に入った。あわよくば呪いを解いてもらえるかもしれないし。
博物館の中はトーテムポールや仮面でいっぱいだった。とっても諸星大二郎な眺め。トコイトコイ。太陽の塔も考えてみりゃトーテムポールだよなあと思う。
並べられた民族学の資料は見ていてとても面白いけど、その背後にいる無数の人々の事を考えるとしんどくもある。無名の人々の手によってモノの上に刻まれた精緻なデザインは、人間の生活の全貌を示すと同時にその限界をあらわにしているようでもある。どこまでいっても人間は自分の作った食器や家具やイコンや仮面に取り囲まれて生きるのだ。そう考えるとなんだか息苦しい気もして、人間と関係のないところに行きたくなる。月面とか。
結局、展示品の中に干し首は見あたらなかった。探し方が悪かったのか展示をやめてるのかはわからない。歩き疲れたのでしばらくロビーで休むと、モノレールで大阪駅方面に帰った。