New People

サンフランシスコのジャパンタウンに先日(8/15)"New People"という日本のポップカルチャー専門の複合商業施設がオープンした。


小学館が出資して、プロデュースはViz(小学館の子会社で、北米で日本のマンガやライトノベルを翻訳出版してる)。
この施設について、こちらの考察が面白かった。


英語なんで、えーその、あてにならない要約。

サンフランシスコに先日オープンしたNew Peopleという商業施設はなかなかスゴそうだ。ギフトショップやカフェ、映画館、ギャラリー、ゴスロリのショップも入っているそうで、これはアメリカにおける日本のサブカルチャー紹介の大きな一歩となる。
ただ、この建物の姿を見て私はちょっと驚いた。というのも、ここはオタクをターゲットにした店舗の筈なのに、ちっともオタクっぽくない。
昨年の秋に私は森川嘉一郎*1の講義を聴く機会があったのだけど、そこで氏が言ってたのは、オタク向けのスペースというのは一般に"閉じた"場所だということ。オタクは自分の買う物に恥じらいがあるので、オタク向けの店舗はたいてい窓がふさがれてて、街路からの視線がシャットアウトされている。それに対して非オタク向けの店は、正面に大きなガラス張りの窓があって、客はブランドのロゴがでかでかと入ったショッピングバッグを見せびらかして歩くーーまあ極端に言うとそんな感じだ。
秋葉原のビルと原宿の高級ブランド店の写真を見比べてみよう。秋葉原のビルは明らかに窓が少ない。対照的に原宿の方はビル全体がガラス張りだったり、前面に大きなガラス窓があったりする。
で、New Peopleだけど、このビルは前面がガラス張りで、まるで原宿の最先端のビルみたいなデザインだ。店内もラブリーにデザインされてるけど、オシャレなブティックみたいに見える。典型的なオタク向けショップってのはアニメイトとかヴィレッジヴァンガードみたいに雑然としてるもんだよ。
どういうことなんだろうねこれは。
確信は無いけど、マンガ業界は「次の段階」を探って、新しい計画を練り、業界を再編成するフェイズに入ってるみたいだ。
私はこれまでマンガ業界の将来についていろいろ議論をしてきた。マンガ読者の年齢層が高くなるにつれてマンガ作品の内容も成熟したものになっていくのだろうか。それとも、今のヒーローコミック業界がそうであるように、40歳のナルトファンが登場するだけなのか?
Vizは北米でナルトやポケモンを売ってきた、マンガ業界の中では大きな存在だ。彼らは少年/少女マンガにどんどん作品を投入しながら、次のステップを睨んで駒を進めてきた。日本の青年マンガ、レディースコミック、SFやファンタジーコミック、ライトノベル…それだけでなく、日本の若者カルチャーの主要部分も着々と輸入し続けた。映画とかアートブックとか。彼らは北米で日本文化のコンテクストを作り上げてきたわけだ。
New Peopleは日本の文化をこの国のマス・マーケットに紹介するにあたって、わざと"オタクっぽさ"をとりのぞいている。
Vizや小学館は、日本文化の多様な側面にこの国のメインカルチャーが注意を向けるよう努力している。うまくいけば、日本のユニークで実験的で多様なマンガをもっと容易に販売することができるだろう。
さらにVizは、自社のコンテンツをアメリカのマンガ・アニメファンダムに囲い込まれた状態から、もっと普通の人々の方に向かって開こうとしているようだ。オタクはそういうの嫌がるけど。
そのうち、アメリカのオタクたちが、"マンガ業界は一般人のために俺たちを見捨てた!"と怒り狂う日が来るかもしれない。
さて、ユニクロはGAPみたいな日本の衣料品チェーンだけど、ここ数年マンガやアニメ、ゲーム、アートとTシャツをコラボした企画をやってて、彼らはそれを「メガカルチャー」と呼んでいる。
メガ・カルチャー。パラッパラッパーとTシャツの出会い。内向性と外向性の融合だ。
ユニクロの店内はおしゃれなブティックスタイルのレイアウトだけど、そこにはマンガがプリントされたTシャツが並んでる。私が日本に行った時、原宿のユニクロでは少年サンデーのTシャツ発売イベントをやってた。店内でマンガ家のサイン会もやってた。そこで見たのは普通のクールなカップルがガンダムうる星やつらのプリントされたTシャツを着てうろうろしてる姿だ。
それが将来像だ。ノスタルジックで、若向けで、内向的なカルチャーはマス・マーケットの中にシームレスに統合されていくだろう。ファンダムの変質について、旧来のファンたちとの摩擦はあるだろうけど…ともかく業界は確かに変わってきている。


という感じ。不正確なので興味がある人は原文読んでください。そのうちどこかの翻訳系ブログが翻訳しそうな気もする。
New Peopleのスタイルに見るVizの戦略ってとこですかね。マニアからより広い消費者へ…と。
メガカルチャー…ね。どうなんですかね。何とも言えない。ユニクロのTシャツは好きなのあるんだけど、着てる人が多すぎるよなぁ。


窓のふさがったビルとオープンなビル。
私は窓が開いてる派かふさがってる派かというとふさがってる派なんですが、つまり密室じゃないと燃えないというか。できれば地下に潜りたいくらいだ。しかし時代はガラス張りか。
お台場ガンダムも野外だしナ。開いた箱の中のオタク文化