共同ペンネーム

 音羽 たかしさん(おとわ・たかし=訳詞・作詞家、音楽ディレクター、キングレコード元常務、本名牧野剛〈まきの・ごう〉)が6日、誤嚥(ごえん)性肺炎で死去、84歳。葬儀は近親者で終えた。喪主は妻牧野満智子(まちこ)さん。

 ザ・ピーナッツの「可愛い花」「情熱の花」、ペギー葉山さんの「ドミノ」、伊東ゆかりさんの「ロコモーション」など、海外ポップスの日本語詞を多数手がけた。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0818/TKY200908180366.html

この訃報を受けて、アンテナに入れてる鳥肌音楽さんで次のような記事が書かれてました。

音羽たかし、というのはキング・レコードの社内で共有されたペンネームだったという話。
ほー、と思って検索すると、音羽たかしさんについてはザ・ピーナッツ関連でよく話題になってる模様。

音羽たかし」も「あらかはひろし」もキング・レコードスタッフのペンネームです。
キング・レコードは東京都文京区音羽にあった講談社のレコード部として1931年
に創業しました。現在の本社社屋もこの近隣にあります。
この音羽という地区は高台にあったので「音羽たかし」というペンネームの由来。
また、キング・レコードの工場が荒川区にありました。(今はないと思いますが)
この荒川区というのは都心を離れた地域ですから、昔は広々とした場所だったので、
あらかはひろし、というペンネームとなったと思われます。
ザ・ピーナッツ・レコード随想 シンデレラ

なるほど。
亡くなった牧野剛さんはどういう立場の方なんだろう、と思ってちょっと検索したら、

江利チエミペギー葉山を育てた敏腕ディレクター、牧野 剛氏の指揮のもと、60'Sカヴァー・ソング時代にあっても多くの傑作を残したキング・レコード。
http://www.shinko-music.co.jp/sazanami/k-king.html

久保智恵美(後の江利チエミ)は、駐留軍のキャンプ巡りでドリス・デイローズマリー・クルーニーの持ち歌を歌って「エリー」の愛称で人気があった。ある日、進駐軍兵士ケネス・ボイドからパティ・ペイジの新曲「テネシー・ワルツ」を教えられる。だがレコード各社のテストを受けたが次々に落ちる。昭和26年、キングレコードのディレクター和田寿三や牧野剛は「テネシー・ワルツ」を聞いて衝撃を感じた。そのとき米軍キャンプショーで「テネシー・ワルツ」をレパートリーにしていたチエミは、すでに独自の日本語で歌う試みをしていた。その詞を下敷きにして、和田が音羽たかし、というペンネームで日本語歌詞を作り直した。「14歳の天才ジャズシンガー誕生」というキャッチフレーズで売出されたレコードは、発売2年間で40万枚とい大ヒットになった。
http://shisly.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_4ff2.html

ということで、カヴァー・ポップス全盛時代に活躍したディレクターですね。だからきっとこの人が"音羽たかし"代表なんだろーな。いや、わかんないけど。


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ところでこの手の共同ペンネームって他にもありますね。映画で有名なのはアラン・スミシー。監督が何らかの理由で完成間際に降板したり、自分の名前を出したくないって時につける匿名の監督名。

その他には

と、まあいろいろと。
知られてなかったけど実はあの人が…なんてのもあるんでしょうな。