映画は映画だ

珍しく韓国映画を観た。劇場には、噂に聞く韓国俳優ファンの女性たちがいっぱいいました。それはそれとして、映画は面白かった。
えーとユングっぽく言うとあれだ、人格が未熟な主人公(カン・ジファン)が自らの影(シャドウ)ともいうべき人物(ソ・ジソブ)と衝突し、危機を経て成熟する、という通過儀礼の物語。最後に対立する二人(それぞれ普段は白い服と黒い服を着ている)が干潟でどつき合う場面、二人とも灰色の泥まみれになってまったく区別がつかなくなるというのは、たいそう象徴的だった。わざとらしくもあったけど。あの場面は二人とも完全に泥人形になっていて、シュワンクマイエルの『男のゲーム』思い出した。
で、この映画では本来なら主人公であるべき位置にいるカン・ジファンよりソ・ジソブのほうが明らかに存在感がある。つーか実はこの映画の主人公はソ・ジソブと言っていい。で、通過儀礼的物語の全てが終わった後もソ・ジソブは簡単には消えてくれず、結果としてさらに強烈なオチがつく。この過剰さも、ちょっと面白かったです。
映画監督役の人がいいキャラなんだが、何故かマイケル・ムーア風なのもおかしかった。