ウォッチメン

見終わってこの感じは何かににてるけど何だ、と思ったんだがアレだ、TVアニメの総集編。
3時間近くある映画だが、この長さでも『ウォッチメン』の内容をまとめるには短すぎた。原作からして既に大部の内容を圧縮して語ってる感があるけど、映画はそれをさらに圧縮してるので、なんというかあらすじばかりでエモーションの動きが追いにくい。マンガだったら読み返すことで各シーンに圧縮されたものをじわじわ解きほぐす面白さがあるけど、映画は時間に沿って順々にシーンを見せられるうちにどのポイントを追えばいいのかわからなくなる。
とはいえじゃあダメな作品かというとそうでもなくて、ストーリーは原作のそれをおそろしく手際よく編集して見せています。手品のようなまとめっぷり。そしてビジュアル的にもすごく「よく出来てる」。ナイトオウル、シルク・スペクターは原作より良かった。ロールシャッハ(発音はロールシャックだったのね)は原作より好きになった。
音楽の使い方も良かった。レナード・コーエンの「ハレルヤ」が流れるシーンは笑った。
しかし原作の普通の人々の生活場面(新聞売りと黒人少年のやりとりとか)を映画はばっさり落としてるんだけど、これはテーマ的にもちょっとまずいんじゃないかという気がする。厚みが無くなる。まあ、そりゃ時間内で語りきるためにはああいう部分は省略するしかないだろうけどね。
まあなんだ、これはやはり何回かのTVシリーズ(予算たっぷり目で)でみたかったな…と思う。