movie

エリジウム

フィリップ・K・ディックというSF作家がいまして。今更説明するまでもなく、いくつもの作品がハリウッド映画の原作になってるーーでも生前は不遇だったーー有名な作家ですけども。 彼のSFの特徴として、誰だったか、評論家が書いてたんだけど、彼は"CMを流す…

地獄でなぜ悪い

ヤクザの抗争とボンクラ映画青年たちが合流して狂乱の一夜を作り出す。70年代筒井康隆作品をそのまま実写化したようなブラックな笑いに満ちたスラップスティック。 冒頭から自主制作映画風の無責任で自堕落な雰囲気が充満してるので、こういうのが駄目な人は…

風立ちぬ

箇条書きでメモ 『ポニョ』以上に監督の脳内世界へ没入した感があって観終わった後影響が抜けない。夢と現実が交錯する作りなので"夢酔い"する。リアリティのラインが宮崎駿だけに許される自在さで動いている。 音響がモノラルで人の声を多用しているのが、…

立候補

泡沫候補と呼ばれる人たちのドキュメンタリー。 外山恒一の有名なテレビでの演説から映画は始まる。 それから2011年、大阪府議選でのいわゆる泡沫候補達の選挙活動の様子が映し出される。 大阪府庁の前で始めるマック赤坂の選挙演説、"Do The Hastle"にあわ…

欲望のバージニア

音楽と脚本をニック・ケイヴがやってる。去年Youtubeでこのサントラを聴いたら、White Light / White Heat のカントリーヴァージョンがあった。パンク等の名曲をカントリーでカバーしてるらしい。これは観に行こうと思ってたが、こんな、うっかりみすごしそ…

11月に観た映画メモ

キック・オーバー 面白かった。これは拾い物。拾えて嬉しい。 最初は舞台設定があまりに荒唐無稽に思えて、ほとんどSFーーというかメル・ギブソンが日活無国籍アクションに出ているような錯覚を覚えたが、あとで調べたらあの無茶な刑務所には一応モデルが実…

10月に観た映画メモ

アイアン・スカイ 月からナチがやってくる映画。たのしい。 スターログという昔のSFビジュアル誌のことを思い出した。この映画はなんとなくスターログっぽい気がする。といってスターログをリアルタイムで読んでたわけでもないんだけど。SFというジャンルに…

ル・アーヴルの靴みがき

カウリスマキの新作。鼻の赤い酔っぱらいがこんなかわいい映画を撮ってどうする、みんな誤解するぞ、と思うのだが、まあかわいいのは事実なので仕方がない。ル・アーブルの港町の風景のなかにくっきり浮かび上がる黒人少年の頭の輪郭がきれいでした。 ざっく…

別離

イラン映画。観てるとどんどん後悔の念が強くなる。この映画を観たことを後悔してるんじゃなくて、登場人物たちが重ねる小さなあやまちやごまかしに胸が痛くなる。この映画に出てくる人たちは誰一人として悪人ではないんだけど、お互いにからまりあい大きく…

4月に観た映画メモ

メモだけでも書かないと忘れてしまうでな。 ドライヴ これは変な映画でよかった。日常世界に対する異物としての暴力の描き方は塚本晋也を連想した。ところどころリンチ的だったりもする。でもって監督はホドロフスキーへのオマージュだと言ってるそうで。 ス…

POV 呪われたフィルム

上映時間92分 まったくマークしてなかった映画なのだけど、どうも観た人の感想がただごとでは無い様子なので観に行った。映画が終わって場内が明るくなると私は死んでいた。やられた。なんだこの奇跡のメタ映画。正直ポスターなんかの印象では「若手女優使っ…

おとなのけんか

上映時間79分。最初は公園の風景で、表情が見えにくいくらいの距離に子供たちの群れがいて、なんだか揉めてる様子。そこにタイトルや出演者の名前が重ねられて、すいっすいっと手前に寄ってくる。このリズムとスピードが小気味いい。 子供たちの中でひとつの…

ヤング≒アダルト

上映時間94分。シャーリーズ・セロンの家族に乾杯。まあ乾杯してないけど。それどころか新調した服にワインぶっかけられたりしてるけど。 NHKの『家族に乾杯』は鶴瓶が地方都市の家族と交流して幸せになる番組だけど、この映画はシャーリーズ・セロン演じる…

ペントハウス

これはいいドートマンダー映画。いや実際にはドートマンダー物じゃないんだけど。 ドートマンダーはアメリカの小説家ドナルド・E・ウェストレイクが創造したキャラクターだ。天才的犯罪プランナーのドートマンダーが個性豊かな仲間たちを集めてすったもんだ…

ドラゴン・タトゥーの女

スウェーデン版は未見。原作も未読。 原作は小説だけど、リスベットの造形はコミックっぽいな。もしアメコミ原作映画をフィンチャーが撮ったらこういうふうになるんでないかという感じ。リスベット:ビギンズですな。 映像・編集はえらいかっこよかったです…

サウダーヂ

映画『サウダーヂ』は福岡なら今はKBCシネマでやってます。観ましょう。要点は以上。 * ところで大河ドラマ『平清盛』第一回を観た。大河ドラマファンというわけでもないんだけどなんとなくテレビつけたらOPのところで"挿入曲「タルカス」"と出て、こりゃど…

ハンナ

"PV風のスタイリッシュな映像によるアクション映画”を撮ろうとしてハマる穴にはたいがいハマってる気がする。構図優先でカットが繋がらないし、どうにも緊張感が持続しないし、脚本が中二病設定なのはいいけどいまいち不徹底だし。 でも別に良いです。金髪で…

未来を生きる君たちへ

暴力の連鎖のお話、という評判であったが観てみるとちょっと違うんでないかという気がする。クライマックスで痛ましい事故が起きて、その後それぞれに心の傷を抱えた登場人物たちが癒されたり和解したりするのだけど、その和解=リハビリの部分が中心となる…

メカニック

93分といううれしい長さ。 鉄人めいた年長の師匠と若くて考えの足りない弟子つーと『北国の帝王』だネ。ーーいやだいぶ違うが。何が違うって敵がアーネスト・ボーグナインでないというところが違う。あんなオニガワラが相手だったらジェイソン・ステイサムは…

モールス

リメイク元の『ぼくのエリ』は未見。『吸血少女対少女フランケン』なら観たけど(何の関係もないなそれは)。 舞台は1983年のレーガン時代のアメリカ。この時代のアメリカにした意味は分かるのだけど、それを今ひとつ生かしきれてなかったような。もっとも、…

大鹿村騒動記

爽やかな佳作でした。豪華な俳優陣に、映画の長さが93分とコンパクトなのも嬉しい。これで1000円上映。トクだよトク(c)花輪和一 …って呼び込まなくても既にヒットしてるのか。というかそろそろ上映終わりそうだなこっちは。 博多駅のTジョイ博多で朝の9:20に…

注意力の被写界深度、『ソーシャル・ネットワーク』

(ネタバレ有り) 自分のことから書こう。 最近とみに痛感してるのだけど、私は、たぶん、他者に向ける注意力が平均より不足している。そのため、他人の表情やボディ・ランゲージを読むのが苦手だ。 言い換えると、私は他者の「こころ」を読む能力がおそらく…

スペル

だっはっはっはっは。楽しかった。正しいお化け屋敷映画。いやお化け屋敷は出てこないけど、おどかし方がね。 銀行員の娘さんがジプシーの婆さんに呪いをかけられるというキングの『痩せゆく男』みたいな話で、ひたすら娘さんが呪いと闘うわけですが、呪いの…

イングロリアス・バスターズ

戦後に南米でナチの残党が見つかるとナチスの亡霊なんて呼ばれたりしたわけですが、この映画で描かれるのはナチスの亡霊じゃなくていわばユダヤの怨霊。ナチスの亡霊は過去から甦ってきて現代の人を脅かすけど、ユダヤの怨霊は逆に映画と言うメディアを使っ…

ディア・ドクター

DVD化前の再上映(@天神ソラリア2)で見に行った。 感心した。画面の中のポイントの置き方が上手い。的確。ああこのカットはこれを示したかったんだなってのが良く判る。といっていかにも絵解き風に"意図"を押し付けてくるわけではない。画面の中に落ちる…

パイレーツ・ロック

たまたまタダ券があったのでとある晴れた休みの日のお昼に見に行った。晴れた日に見るのにはとても適した気分のイイ映画だった。そんな外出日和に映画館にいくのもどーよ、というのはともかく。 喫煙&マリワナで高校を退学になった英国の青年が、母親の命令…

リミッツ・オブ・コントロール

殺し屋がランキングされ、すべての殺し屋がナンバー1になろうとしのぎを削る世界。ナンバー3の花田五郎は、ある人物の護送を依頼され、その任務中にナンバー4の高とナンバー2の佐倉を倒してナンバー2の座を獲得する。しかし、栄光の座についたのも束の間、部…

あんにょん由美香

2005年に亡くなったAV女優・映画女優の林由美香についてのドキュメンタリー映画。 出てくる男の人たちが、結構な率で歯並びが悪いのに親近感を持った。私も歯並びが悪いので。 豊田道倫の音楽が良かった。ラストなんか、ぐっと来ました。 林由美香さんの映像…

サマーウォーズ

映画の日に観た。劇場満席でした。面白かった。 ところでわりとどーでもいいというか禅問答のようなことを書くけど、 アニメの中で描かれているキャラクターと言うのはディフォルメされているのが前提だ。『サマーウォーズ』の主人公の少年が憧れの先輩に手…

ウォッチメン

見終わってこの感じは何かににてるけど何だ、と思ったんだがアレだ、TVアニメの総集編。 3時間近くある映画だが、この長さでも『ウォッチメン』の内容をまとめるには短すぎた。原作からして既に大部の内容を圧縮して語ってる感があるけど、映画はそれをさら…