『パフューム ある人殺しの物語』

某アイドルグループとは関係ないのです。

ストーリーは大変面白いし、題材は興味深い。原作未読だけど、読めばきっと面白いであろうことはよくわかる。主演のベン・ウィショーも変な顔してて良い。
でもそこまで、でした。異色の主題を扱った、一種のSFとでも言うべき奇想天外な物語なんだけど、映画はストーリーの説明に終始してしまった。別に駄目な映画ではないんだけど…うん、最後まで退屈せず観ることができましたよ。ただなんつーか、もっと驚きたいんだ、私は。
主題が面白すぎて映画が追い付いてないって感じか。

もっとも冒頭あたり、主人公の能力がズギャァァンと示されるあたりはジョジョっぽくてなかなかすきでしたが。

それにしてもこのお話はほんと、面白いですね。世界のあらゆる匂いを嗅ぎ分けるが、自分の体臭はない主人公。彼が抱えるのは一種の透明人間の苦悩です。透明人間が見ることはできるけど見られることはないのと同様に、この主人公は嗅ぐことはできても自分の匂いは持たない。人間たちの情動を香りで支配するほどの力を持ちながら、人間たちの歴史にはどうやっても関わることができない。あらかじめ歴史から忘れ去られることが運命付けられた存在。いろいろ考えちゃう題材だ。

監督がたとえばP.グリーナウェイならもっと豪華で悪趣味な映画にしてくれたかもな…でも、グリーナウェイは原作と別ものにしないと満足しなさそうだな。

パフューム ある人殺しの物語 公式サイト