別離

イラン映画。観てるとどんどん後悔の念が強くなる。この映画を観たことを後悔してるんじゃなくて、登場人物たちが重ねる小さなあやまちやごまかしに胸が痛くなる。この映画に出てくる人たちは誰一人として悪人ではないんだけど、お互いにからまりあい大きくなっていくトラブルの中で、最終的に自分たちが皆「善人ではない」ことを苦く認識せざるをえない。「善人はなかなかいない」というわけだ。そういう不快な顛末を描く作品としてこの映画はすごく良くできている。要するに、リアルなのだ。イランは日本とは違った文化を持つ社会だけど、こういうことは確かに人間の世界ではどこでも起こりうる、起こっている、と感じさせる力がこの映画にはある。