ロダーリ

古本屋でこの本を買って読んだ。

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

ジャンニ・ロダーリはイタリアを代表する児童文学者・教育者・詩人・ジャーナリスト。
この著者の
ファンタジーの文法―物語創作法入門 (ちくま文庫)

ファンタジーの文法―物語創作法入門 (ちくま文庫)

は以前読んだ。
『ファンタジーの文法』には素人(子供たち)が物語を作るためのテクニックが沢山収集されている。『猫とともに去りぬ』は『ファンタジーの文法』の実践編として読める。
『猫とともに〜』の原題は『機械でつくった物語』という。『ファンタジーの文法』でロダーリが収集した物語の技術によって、機械的に生み出した物語、という意味合いもあるんじゃないかと思う。
機械的にといっても、型にはまったとか言う意味ではない。イメージの衝突、創造的誤謬、パロディ、誇張、重ねあわせというような想像力を起動させるテクニックと、プロップが分析したような物語の構造論のブレンドが、つまり物語を生む機械だ。
これらの物語が何に似ているかというと、海外の短編児童アニメ映画に似ている。アニメ映画もまたイメージの衝突、創造的誤謬、パロディ、誇張、重ねあわせといったテクニックと、民話的な物語構造から成る事が多い。
遡ればシュルレアリストの皆さんが開発したテクニックだ。
さて『猫とともに去りぬ』が面白いかというと実は微妙だったりする。いや楽しいお話たちではあります。奇妙で皮肉でユーモラス。子供と一緒に読むと楽しいと思う。
ただなんつーか、読んでて、「広島国際アニメフェスで観たなぁこういうの」「映像ならもっと面白いかもなぁ」と思ってしまうのね。イメージの遊園地でありジェットコースターはあるのだが、書かれている言葉の中に、謎があまり無い感じ。
でもそれは、想像力の出発点としてすぐれた作品になっている、ということかもしれない。機械から作られた物語は、それ自体が新たな物語を作り出す機械なのかもしれない……とかなんとか。