スルタンの象と少女

とても素晴らしい。


フランスのナント市を中心に活動する集団ロワイヤル・ド・リュクスによるパフォーマンスの記録。先日横浜に来たラ・マシンはこのロワイヤル・ド・リュクスの機械製作部門ということらしい。横浜でのパフォーマンスを見る事のできた人たちがうらやましい。妬ましい。


ある日街に落ちてきた木製のロケットから、大きな少女があらわれる。少女は歩き、大きなデッキチェアで眠り、朝は起きて体操する。
同じ街に、インドのスルタンが巨大な象に乗ってやってくる。やがて象は少女と出会い、象は少女を乗せて街の通りをゆっくり進む。


一つの街を舞台にした何日にもわたるイベントだ。ストーリーははっきりとは説明されず、見る人の想像にゆだねられている。


舞台と観客席、虚構と現実の間の境界がない野外劇。少女の木製の身体を動かしているのは何本ものケーブルだ。それがわかっていても、少女が私達を珍しげに見下ろす時、そこに彼女が「いる」という感じが強くする。


巨大な"彼ら"を見ていると、どこか懐かしく、深いところを揺さぶられて、泣けてくる。


この驚異のパフォーマンスの準備にどれだけ時間と労力がかかったかを想像すると、これがまた…いや、なんというか、何もかもが凄いし、偉い。