『蒸気駆動の少年』ジョン・スラデック(柳下毅一郎編)
- 作者: ジョン・スラデック,柳下毅一郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2008/02/19
- メディア: 単行本
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待望のスラデックの短編集がやっと出た。収録作は以下の通り。
一見普通の目次だがこのリストをある規則に従って並べかえるとそこには編者の不穏な意図が浮かび上がる。
……とかなんとか言って不条理な考察を始めればそれこそスラデック流だと思うのだけど、上手くできないのでやめときます。
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スラデックと言えばぶっとんだ不条理ギャグ(か、徹底的に考え抜いたパズル的ミステリ)の印象が強い。でもこの短編集は、シンプルに楽しめるアイディアストーリーや普通に良くできたショートショートなんかも納められてて、バラエティに富んだラインナップになってます。というわけでスラデックの作家としての技量の幅も良く判る、スラデック初読の人にもお勧めの一冊。『小熊座』みたいな真っ当なホラーをスラデックが書いてるとは思わなかった。もっとも、唐突にベンサムの遺体が出てくる所なんかはやっぱりヘンなんだけど。
スラデックはたぶん天才だったのだが、才能の使い道をまったくわかっていなかった。結果として、生涯奇妙な小説ばかりを書きつづけ、一部に熱狂的なファンを持ち、大多数からはほぼ無視されたきわめて不思議な作家が生まれたのである。
(解説ージョン・スラデックの四つの顔[柳下毅一郎])
いやまったく。才能のある作家はいっぱいいるけど、彼のような妙なところに入り込んだ作家はちょっと他にいない、んじゃないかと思う。