香川県へ

ヴォネガットが死んだということで地味に落ち込んでいたがそれでも人生は続く。LIFEは廃刊したけど人生は続くのです。

ちょっと香川県の方に行ってきました。
目当ては猪熊弦一郎現代美術館と、直島。少し前に今行きたい美術館はどこか、という話を知人としてて、直島のベネッセハウスミュージアムが挙がったんですね。そういえば香川には猪熊弦一郎現代美術館もある。今あの辺で美術館のスタンプラリーをやってるらしい。行きたいねえ。

というわけで行ってきました。

夜中に福岡を出発、高速をゴリゴリ走って大分の港にたどり着くと車ごとフェリーに乗り込む。
大部屋の二等船室にオレンジ色の化繊の毛布にくるまって一時間半、愛媛に着くと朝です。天気も良くなって幸先いい感じ。

まずは猪熊弦一郎現代美術館に到着。

駅前に、街に向かって開かれた大きな箱がありました。前面に描かれた巨大壁画が自由に呼吸している感じ。谷口吉生設計のこの建物は昔から写真で見て、ああこれはいいなあ、と思ってたんだけど、実物を見てちゃんと好きになれたので良かった。

猪熊さんの画業について詳しくは知らなかったけど、展示されてた作品はどれも楽しかった。展示室に入って最初に目に入るのが針金や金属のジャンクで作った手のひらに載るようなオブジェの群れで、これは金属製の昆虫がわさわさと集まってきたよう。猪熊さんの少年性を強く感じました。猪熊さんの作品全体に、少年的な感性とそれをうまく構成する知性を感じます。無邪気な少年と優しい叔父さんがペアで作成しているような。
絵の中に複数の時間が層になって見えるような感じも面白かったです。
顔がいっぱい並んでる絵はしりあがり寿のマンガのあるページを思い出したり。

(左:猪熊弦一郎『顔80』、右:しりあがり寿『なんでもポン太』)
そういえば自分の絵を素材にコラージュしていくように描いている感じ、しりあがり寿に近いかも。

絵に描かれる主なモチーフは人の顔、都市、猫、鳥の四つ。あーこれは確かに、現代の風景の四大要素かもなー、と思いました。風景をマクロで見れば抽象的な形の構成としての都市が見えてくる。それをミクロで見ると無数の人、それに猫や鳥がざわざわと動いている。これらの猫や鳥たちの絵を見たおかげか、今回は猫や鳥とよく出会う旅でもありました。

壁画の馬だか驢馬だかを記念撮影。

あーたのしかったと満足して美術館を出て、一路高松市方面へ。

昼食には当然うどんを食べます。香川だしね。あの民家の軒先でぶっかけとか釜玉とかで食うというやつ。うまいし、一杯200円程度で安いのがいいなあ。香川県民ウラヤマシスと思いながら二軒はしご。そのままうどんツアーに突入しそうでしたがきりがないので直島に向かう港の方へ向かいました。

「あの山はなんだかキレイな形だねえ」「つーかこのへんの山は日本むかしばなしに出てくるみたいな山だねえ」「山、という漢字のもとになったような山ばかりだね」「あ、看板が…讃岐富士」「あー」「なるほど」

Wikipediaで調べたら香川県には七つも富士があるのな。

高松市では美術館スタンプラリーのルートに入っていたので香川県文化会館と高松市美術館に行きました。
文化会館の方は……まあ多くは語るまい。いや、だってパンフには収蔵作品イサム・ノグチ他1700点とか書いてあったのに……それがあんな小さな部屋で……入り口に「ご用の方はお呼び下さい」というボタンが……事務職のおじさんが来てドアあけてくれたけど……中で展示されてたのがこれまた……いや……まあいいや。「逆に面白かった」ということで。
これを思い出した
高松市美術館の方は常設展のみで、「空と大地」をテーマにした現代美術系作品と地元の工芸品を展示してました。これはまあ、小粒ですけどそこそこ面白かった。菊畑茂久馬のデカい作品とか。工芸品の方は細工が細かくてスゲェ。
ああ、でもこちらはは普通なので特に書くことがない。