「コマ」から「フィルム」へ

「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画

「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画

初期マンガ映画とコミック・ストリップの成立過程を丹念に追い、その上でマンガにおける時間の特性について論じている。
個人的な話ですがーーこの本で映画やビデオとマンガにおける時間の特性の比較をしてるところだけど、同じ問題を、昔ある種の切実さとともに考えたことがある。つまりエロマンガとAV、この二つの"実用"における時間特性の違いについて。いやもうこういうことに関しては、思春期以降イロイロ考えました。考えましたとも。だからこの本のこの部分の論考は自分が以前考えたことを辿り直しているようでもあった。エロを巡って考えたことって多いんだよなあ。これって単純に助平とかそういうことではなく、いやまあ中心にあるのは助平ではあるのだが、助平な事柄を巡って考えはじめるとなんというかとめどないんだよね。
まあそんなわけで、この本がマンガを読むことで発生するマンガ内時間を「愛の時間」と呼ぶ*1のには、実にぴったりなネーミングだと納得いたしました。や、本書ではエロがどーこーとかまったく書いてないけれど。

*1:加藤幹郎の論考に基づく