グラックの卵
- 作者: ハーヴェイジェイコブズ,Harvey Jacobs,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 単行本
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浅倉久志編訳の短編集。
- ネルソン・ボンド「見よ、かの巨鳥を!」
- 懐かしい感じのバカSF。アイディアはバカですが文体はあくまでシリアスな破滅SF調。
- ヘンリー・カットナー「ギャラハー・プラス」
- あーこのシリーズの第一作SFMで読んだことあるな。藤子F不二雄が描きそうなスマートなドタバタ。
- シオドア・コグスウェル「スーパーマンはつらい」
- タイトルの印象と違って、テーマはわりとマジでした。
- ウィルアム・テン「モーニエル・マサウェイの発見」
- これまた懐かしい感じのタイムトラベルねた。当時の芸術家もどきへの痛烈な皮肉。
- ウィル・スタントン「ガムドロップ・キング」
- かわいらしいけど読後に奇妙な味が残る寓話。
- ロン・グーラート「ただいま追跡中」
- 普通のスラップスティックですが、省略しすぎでちょっとニューウェーヴ短編みたいになっとる。
- ジョン・スラデック「マスタースンと社員たち」
- 事務員の一団の行動が素晴らしく非人間的なタッチで描かれる。この非人情ぶりがスラデック好き(私だ)にはたまらん。この作品は作者いわくジョセフ・ヘラーの影響を受けているそうですが、結局のところスラデック的としか言い様がない読後感。
- ジョン・ノヴォトニイ「バーボン湖」
- ものすごく罪がない、かわいらしい小品。いいねえ。
- ハーヴェイ・ジェイコブズ「グラックの卵」
- 68年のF&SFに載ったそうですが、普通にマジック・リアリスム系の文学だった。奇妙な卵を孵すために奮闘する青年の物語。それがそのまま死と再生の物語になっている。楽しくて感動的。
50年代SFからニューウェーヴ、マジックリアリズムまでを一巡りする、奇想小説のバスツアーのような短編集でした。全体に粋つうか、スマートな感じの作品たちです。