鉄コン筋クリート

観てきました。とりあえず簡単にメモ。
・原作にかなり忠実。ただ、原作はクライマックスが抽象的でちょっと困るのだけど、そこもトレースしてしまっているような気はする。
・宝町の美術は圧倒的。これは本当にすばらしい。空間丸ごと自分の手に所有したいと思った。大阪と浅草とその他いろいろ濃い町を混ぜて煮詰めたようなごちゃごちゃした空間をカメラがぐるぐる回る。
・キャラクターたちのありえない跳躍は楽しいです。いーんだよまんがなんだからどんどん飛んじゃって!
・背景の質感は大友風だったりエンキ・ビラルを思わせる色合いだったり、いろいろ入ってる感じ。ともかく好きだなあこの絵。観るところがいっぱいあって楽しい。
・このスタッフだったら逆柱いみりの『馬馬虎虎』(マーマーフーフー)を見事にアニメ化できそうです。やってくんないかな〜観てえ〜
・視点がガシガシ動くのはCGソフトで動かしてるんだと思うけど、街の空間がフォトモ(写真による街のジオラマ)に似た質感で立ち上がってくるのが面白い。運動することで生まれる奥行きの感覚。疑似立体映像を見てる感覚。
・最初家や人が(物理的に)薄っぺらく見えるんだけど、運動の中で紙のようだった建物や人が生きた街になっていくのね。
・声はどれも良かったです。蒼井優すごいねー。映画の中にすごい情動を作り出していると思いますです。何か所か、ぐっと来ました。
・ヤクザ鈴木さんの見せ場がもう一つ二つ欲しかったかなあ。好きなキャラなので。なんつか、もっと画面にアップになってほしかった感じ。
・難点を挙げるとすれば先にも書いたクライマックス部分かなあ。ここだけ理念先行のアートアニメみたいだった。ただここは原作も無理っぽい部分なので、ともかく誠実にこなしていることを評価したい。伝わるべきものは伝わってると思います。
・マンガはコマ割りで多彩な同時性の表現をすることができるけど、アニメはそこを一本の時系列で処理しなきゃいけないから大変だな、とクライマックス部分を観て思った。ちょっと「2001年」モドキになっちゃってる。マンガだとこういうのも難解なりにタイトな表現ができるのだけど。難しいところ。
・サントラで口琴がビンビン鳴ってたのもなんだか嬉しかったのです。そういえば自分は口琴好きなのだった、と久々に思い出した。
・観終わった後の感想は、あー面白かった!