パーク・ライフ
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/10/08
- メディア: 文庫
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唐突ですが、去年の10月にmixiで書いた私の日記。
テレビをつけたら電車男をやっていた。
電車の屋根の上で電車男(キアヌ・リーブス)と酔っ払い(デニス・ホッパー)が格闘してた。酔っ払いの頭が吹き飛んだ後車両は地上に飛び出て(地下鉄だったんだね)路上に転がった車両の中で電車男とエルメス(サンドラ・ブロック)が抱き合ってハッピーエンド。そのあとNHKを見たらこっちでも電車男をやってた。荒川車庫の中の空き車両に電車男たち(笠智衆、加藤嘉、藤原釜足、殿山泰司)が立てこもる話。エルメス(桃井かおり)はびんぼうなアパートに住んでいて好感を持った。酔っ払い(水谷豊)は鶴田浩二をしきりになじっていた。音楽はサンボマスターではなくてゴダイゴでした。
つうかやっぱ面白いわNHKアーカイヴス。電車男にあてはめたりするのは失礼だと思った(思うなら書くなと)。
※NHKの方は『男たちの旅路/シルバーシート』です念のため。77年のドラマ。キアヌのはいわずと知れた『スピード」。
という日記を冗談で書いたら、コメントでマイミクのかえるさんから、漱石の『三四郎』を電車男として読むと言う冗談の便乗があった。
そうだった。『三四郎』も電車の中で謎の女に出会うことから始まる小説だ。
その数日後のmixi日記。
コーヒー飲みながら町田康の『夫婦茶碗』を読んだ。
非常に面白かったのですが、同時に困惑しました。というのも、これもまたひとつの電車男であったからです。『夫婦茶碗』の終盤近く、いつの間にか病院で子供を出産したらしい自分の妻に呼ばれた主人公は、電車で病院に向かいます。この男は何やらメルヘンを妄想しながら廃線をふらふら歩いたりもします。電車男だ。
この主人公の妻はシャネルのバッグを持っていて、妙に上品で古風な言葉でしゃべります。エルメスだ。
というわけで昨年10月頃私は電車男的なものに取り囲まれていたのですが、この『パーク・ライフ』も、読んでみたら電車男だった。
電車の中で知らない女の人に知人と間違えて話しかけてしまうことから始まるお話。
というか、『パーク・ライフ』は全体に漱石の『三四郎』のパロディっぽい。電車の中で偶然出会った謎の女。どっちつかずの時間を過ごす若い主人公。公園で気球をあげている賢者っぽいおじさんは広田先生みたいな…
それにしてもこの小説やドラマのあちこちを走ってる電車は何なのかね、と思ってWebを彷徨していたら、次のような評論を見つけた。
http://www.big.or.jp/~solar/unlocked.html(仲俣暁生)
電車は密室から公共空間へ(あるいはその逆へと)走ってるんじゃないか、なんてことを思いましたです。