現場関係者インタヴュー

http://www.architectural-body.com/mitaka/archives/cat2/index.html
お、面白い!

ABRF そういった場合での作業員の方たちへの指示などはどのようにするのですか?
大川 例えば、床がこう斜めになっていて、その傾斜がどこまで続くのかを指示する、というのがあるとしますね。傾斜は先生の感覚的な斜面ですから、その立ち上がりがどこまで見えるようになって、どこで終わるのかというのを作業員に伝える時には、例えば「この辺で消えていく」といったような指示をします。この「消えていく」という言葉、それから「沈んでいく」という言葉、それから「ず−−と上がっていく」この不思議な三つの言葉を、この現場ではよく使っているんですね。
小坂 それは建築用語ではないんです。ここの現場の特殊な用語として使っているんです(笑)。ですから先生に来て頂いた時に、例えばこの床のうねった形を、手で表現されたり脚の動きで表現されたりしたものを、試作施工したひとつの部屋で仕上げて、先生に見てもらうというプロセスなんですね。それにOKがでれば、他の部屋にも同じようにやればいいという、ひとつの「基準」ができるんです。その「基準」こそが品質を守るための、重要な手掛かりですね。それでもなお、全室が特殊なものですし、先生はそれぞれ個々の部屋にも特殊性を持たせたい、という意向もお持ちですから、そう単純にはいきませんが(笑)

“この辺で消えていく”て。凄いなオイ。現場で手や足の動きで指示する荒川先生の姿を見てぇ〜。そういやE.T.A.ホフマンの何かの短編にそういう人出てこなかったっけ?職人にその場で即興で指示しながら家を建てる奇人。

吉冨 荒川さんとは名古屋市の志段味循環型モデル住宅の件で平成14年の秋にお会いしました。恥ずかしながらその時は荒川さんを存じ上げませんでした。その後、荒川さんが進めていた名古屋市志段味プロジェクトの打合せを拝見させていただき、その迫力ある話に、ただただ驚いていたという印象ですね。
ABRF 迫力ある話ですか(笑)。
吉冨 ええ(笑)。最初打ち合わせに同席した時、なぜか荒川さんがずーっと怒っていらっしゃって…。最初は僕も荒川さんのことをよく存じ上げていなかったので、「なんでこんなに怒ってるんだろう」と思っていたのですが、実際は怒っているのではなく、荒川さんが名古屋市の方々へ考えを伝えてようとしている時のとてつもなく真剣な姿なんですね。あれは本当に凄い迫力でした

ずっと怒ってたってのがいいですなあ。大事だ。何か知らんけど大事だ。芸術は気迫だ。
いやもうなんちゅうか、いろいろアレだけど面白いので許す。という気持ちになりました。