11月に観た映画メモ

キック・オーバー

面白かった。これは拾い物。拾えて嬉しい。
最初は舞台設定があまりに荒唐無稽に思えて、ほとんどSFーーというかメル・ギブソンが日活無国籍アクションに出ているような錯覚を覚えたが、あとで調べたらあの無茶な刑務所には一応モデルが実在したのだな。いやはや現実というのは恐ろしい。
メル・ギブソンが一人で組織を崩壊させてしまう様子は『ペイバック』思い出した。あのひとならやりかねんってところはある。
原題は"How I Spent My Summer Vacation"で、実際それが最後に出たような気がするが、"Get the Gringo"がアメリカ公開時のタイトルになってるみたい。前者のほうがこの映画の人を喰ったユーモア感覚をよく伝えていると思う。が、まあアクション映画らしくないタイトルではあるが。
95分。やはりエンターテイメントはこれくらいの長さのほうが傑作になりやすいのではなかろうか。

アウトレイジ ビヨンド

ヤクザの構成員って結局のところ、他人の怒りをひたすら代行させられるだけなのな。その中で、ビートたけしだけが怒りを直取引で相手に届ける。
相手との直取引志向ってのは、映画に限らずたけしの芸風でもあるような気がする。
漫才コンビめいた”おかしな二人組”がそこここに登場する映画でもある。特にビートたけし中野英雄小日向文世松重豊は重要なペアだが、最後で松重豊小日向文世のもとを離れる一瞬が、やけにやるせなく、寂しく感じた。
あんなふうにコンビが別れる場面を、たけしはこれまで何度もみたんじゃないかなあ、と思ってしまったのだ。

黄金を抱いて翔べ

劇中の浅野忠信の子どもがアスペルガーっぽいなあと思ってみてたらちゃんと(?)逆さバイバイをしていたのにちょっと感心。
妻夫木聡が心になにか重いものを抱えてるような表情をずっとしてて、ああこの人は心になにか重いものを抱えてるんだろうなあと思ったら、最後に心に重いものを抱えていたことがわかるという…いや、まあその、そうなんでしょうけども。
丁寧につくってあるとは思うんだけど、キャラクター描写一辺倒で押してくる感じがやや退屈な気もする。

アルゴ

サウスパークのバターズがベン・アフレックへの嫉妬でおかしくなるほど評価してた、という理由で観に行った。
実際サスペンスとしてはとても良かった。バターズが嫉妬してたのにも納得。
でもやっぱり「アメリカ人いい気なもんだ」って気がしてしまう。や、別にアメリカ万歳って映画でもないんですけどね……あのメイドさんの顛末がやるせない。