歯痛

小さい頃から歯が悪い。口の中は二つの意味でぐちゃぐちゃだ。つまり(1)歯並びがとても悪い(2)幾度も補修されまくり。
金曜の夜からまた歯が痛みはじめた。知覚過敏かと思ったが痛みの根が深い。だが鏡で目視しても虫歯は見当たらない…と思ってよくよく見たら、詰め物の下、痛む歯の根に近い部分に小さな変色があるような気がする。ここから横に虫歯ができているのではないかと推測した。根にダイレクトに横穴を掘ってるのだとすれば、これほど急速に痛み始めたのもわかる気がする。
なんせ進行が急だった。金曜の夜に鈍く痛み始め、土曜には既に歯の根元にネジがドライバーでねじ込まれているような痛みがずっと続く状態だ。近所の歯科医院は日曜は休みなので、一日顎をかかえて脂汗流しながら座り込むことになった。熱も出た。応急措置としてバファリンを飲んだ。飲んでから10-20分で利きはじめるが、効果は2時間もたない。バファリンは胃に悪いらしいのでそう何度も飲むわけにもいかない。
仕方が無いのでひたすら痛みに意識を集中し、せめてイメージを明確にしてコントロールしようとする。頭全体が痛いように感じるがこれは錯覚だ。顔の半分がしびれているような気もするがそれも錯覚。そうやって範囲を区切っていくと痛みはだいたい二センチ角のブロックの大きさに縮まった。さらに舌先で歯の表面や歯茎を触れる。痛くない。つまり痛みの広がりは二センチ角どころか、実際にはごく小さな大きさしかもたない筈だ。小さな神経に緑色に光る”痛み”が巻き付いているイメージ。痛い部分より痛くない部分の方が圧倒的に大きいのだ………と、思うけど、だからなんだとばかりに圧倒的な強さの痛みが全身にピリピリあふれて、全然駄目です。意味ありません。痛みの座標は絶対座標ではなく相対座標なのだった。痛いものは痛い、それが全て。
月曜の昼にやっと、歯科医院で診察を受けた。レントゲンを撮った結果、虫歯は変色しているように見えた部分からではなく。隣の歯との間から広がっていったらしいことがわかった。金属の部分をはずし、中を削ってもらった。「うわこりゃ神経がボロボロになってるわ。よく我慢したねえ」麻酔を打って、腐った神経を除去してもらう。神経の穴をゴシゴシ。しかし途中で麻酔の効果が弱まってきて………………痛かった。涙が出ました。
しかしまあ忍耐の甲斐あって痛みは去った。良かった。おお青空が美しい。


いやもうみんな歯は大事にした方がいいスよ!歯磨き!忘れずに!