不定形

……さきほど昔の知人Xさんに良く似た人に会ったのだけど……Xさんかどうか確信が持てないまま……なにしろもう何年も会ってなかったので……というかもともと自分のいないところで他人が同一性を保っていることに対する確信が、極度に低く……自分のいないところで知人は知人でなくなっているのではないかという……なんだかよくわからない、ぐにゃぐにゃしたものに変貌しているのではないかという……ちょっと統失っぽい世界観のような気もするけど……そんなわけでXさん(によく似た人)とはろくに言葉をかわす事もなく……不定形の霧の中に消えて……しかし今考えるとあれはやっぱり、Xさんだったような……