神話

↓トンデモ医学の千島学説常温核融合を介して911陰謀論とつながってたという話。
2008-03-21
トンデモさん同士が無節操につながっていくのは私も不思議に思う。で、なんとなく思い出したのがちょっと前に読んだこちらのエントリ。
http://blog.goo.ne.jp/f-ryota/e/0bacf6755efda428f93e09479c2aa729
Web上におけるロゴスとミュトスの対立または相互作用の可能性、てな話で、それぞれWikipediaGoogle(解析的な知=ロゴス)、ニコニコ動画(神話的な知=ミュトス)に割り振ってあるわけですが、

しかし、ニコ動は、明らかにそういう意味での「ロゴス」ではありません。それはむしろ「ミュトス」に、つまり対象(動画)のすべてはわからないが、その部分部分にフラグを立て、それを随時回収していけば何となく一時的な情報処理ができるという技術に近づいている。そして、その部分的な情報処理がユーザーごとに微妙にオーバーラップしていく。濱野さんは、その感触を「疑似同期的」と名指しているのだと思います。トップダウン式に、ロジカルに物事を把握するのではなく、あり合わせの素材を適当に組み合わせるという水平的なゲームを通じて、ひととひと、ひととモノのあいだの調和を保っていく。ブラックボックスを神の眼で透視するのではなく、むしろブラックボックスを適宜動物的な手癖で配置して、情報処理が進みやすいようにあつらえてやる。
http://blog.goo.ne.jp/f-ryota/e/0bacf6755efda428f93e09479c2aa729

これ、トンデモさんたちの発想方法そのまんまではないかしらん。"××の陰謀"とか"学会に消された○○の学説"とかが無節操にコレクションされていくトンデモのあり方は、まさに「あり合わせの素材を適当に組み合わせるという水平的なゲーム」だ。ニコニコ動画のユーザが動画の細部に反応し、その反応(コメント)の集積が動画の構造を発見=構成するように、トンデモさんたちはメディアに対する自分達の短絡的な反応や連想を集積する事でメディア全体を覆い尽くすような構造(神話)を発見=構成しようとする。彼等を引き寄せているのは神話の磁場であって、そこに科学のロジックはもとより通用しない。だからトンデモさん同士は仲が良く、科学のロジックを持ち込む者は排除される。

上に引用した福嶋さんの文章ではさらにこのロゴスとミュトスが相互補完を強めて…というような話があってとても面白いです。
しかし陰謀論やトンデモがテクノロジーによって"強化"される過程に付いてぼんやり考えてたら、諸々のパラノイア的妄想が膨大な計算力に支えられて「無理なく」共存する未来、なんてのを想像してしまい、なんともいえない気持ちになった*1。それってまるで21世紀版フィリップ・K・ディック。そういえばディック自身もパラノイア陰謀論の人だったけど……

*1:いやしかし、今すでにそういう状況か?