クリストファー・プリースト『奇術師』

19世紀の終わりから20世紀のはじまりにかけて、ライバル(というかもっと直接的な敵というか)同士だった奇術師二人の物語。
いやあ作者の見事な手品にすっかりだまされ…というほどではなかったのが残念。語りの上でいろいろ凝った仕掛けをしている割には、なんか微妙に野暮ったいというか先が読めるというか。トリックはよく考えられてるけど肝心の手が若干ノロい手品みたいな感じか。文庫で570ページあるんだけど、ジーン・ウルフなら半分の長さで書けるかも。
あ、でもラストはかなり意外な光景が開けたし、全体的にも内容は盛りだくさんで面白かったです。SF、ミステリ、ホラー、全部入ってます。ニコラ・テスラも出てくる。伝奇小説ぽい味…そうだ、これ、山田風太郎が書くべき話だったんじゃないかな。明治もので。
映画化作品が6月に公開だそうな→http://prestige.gyao.jp/
…お、ストーリーが原作とかなり違う。映画のマジックだ。