トゥルーデおばさん
グリム童話に材をとった作品集。
- 「Gの日記」シュールなイメージが充実した作品。原作を裏に隠しながら語るワザが見事。
- 「トゥルーデおばさん」これは好きだなあ。ちょっと「千と千尋」をからかってるようなところもあって。
- 「夏の庭と冬の庭」外国の絵本の登場人物が語りかけてくるような見開きから始まって、やがてリアルすぎる日常に着地する。童話と現実のねじりアメ。
- 「赤ずきん」ロバート・ブロックあたりが書きそうなパロディ、となんとなく思った。
- 「鉄のハインリヒ または蛙の王様」巨神兵だ、巨神兵がいる。全体にSF風味。蛙の王様もDNAを求めてたっぽいし…
- 「いばら姫」これはまあ、B級ホラーですな。こういうのは伊藤潤二のほうが。
- 「ブレーメンの楽隊」元の話の視点を変えたコメディ。ヨーロッパ中世は人間のありかたもイイカゲンでいいですな。
- 「ラプンツェル」少女の成長を複雑な夢の構図の中で描く。面白いけど、こういうのは山岸涼子が既に描いてる…という気もした。そういえば、山岸涼子を読んで諸星大二郎に似ていると思ったことは何度かあるけど、逆は初めて。
諸星大二郎は、物語を読んでいて面白いなあと思うキモの所をドン、とまな板の上にのせて調理してくれるから好きです。ああ、ここがやっぱり美味しいところだよな、というのを切り出してくれるから、うれしくなっちゃうのだ。