人生相談

高橋源一郎が朝日の夕刊に書いた文章を読んだ。
こちらに全文引用が
http://d.hatena.ne.jp/kataru2000/20040420#p1

これが普通の時評でなく「人生相談」の形式をとっていることは大事な気がする。
人生相談は世間の中でつまづいたり悩んだりしてる個人に対して導きやはげましの言葉をあたえる形式だ。
新聞や雑誌の人生相談では、相談する側が匿名だってのがかなり重要だと思う。そのおかげでで相談する側はプライベートな恥ずかしい事柄も相談できるし、関係ない読者は好奇心を満足させられる。


人生相談に投稿する人の多くは、家族や会社や地域社会や、まとめて言えば"世間"に対して悩んでいる。天下国家や政治思想で悩んでいる人は、同じような人達と議論するなり論文書いて発表するなりすればいい。でも匿名の庶民が悩む"世間”の問題は、そういう議論の対象にはならない。
新聞や雑誌の人生相談コーナーは、そういう"世間"の問題の受け皿としてある、と思う。


イラクの問題はまずは政治的な事件だ。政治の事件には政治的な解決なりなんなりがあるだろう。
でも帰って来た元人質の人々がこれからまず直面するのは"世間"の問題のように思える。高橋氏の文章は"世間"と個人について書いてあるものだと思った。政府がずいぶん批判されているように見えるけど、実際は批判されてるのは政府そのものというより、なんだか妙な具合に政府に寄り添ってしまった今の"世間"じゃないか。
高橋氏の回答文は人生相談の常道として、相談者の側によりそっている。それが相談される側の役割だから。弱っている匿名の個人に対して、世間にゃ負けるな、といってやらなきゃいけない。それが新聞や雑誌での、人生相談コーナーの役割だからだ。


実際の所、人生相談に投稿してるような人は多かれ少なかれバカなんじゃないかと思う。バカだからバカなことをやって、迷ったり悩んだりする。
高橋氏の文章に登場する匿名の投稿者も、多分きっとバカだ。投稿がやたら感情的だったり、最後は自分の行動に確信がもてなくて不安になっているあたりにバカが表れている。


でもまあ、人間はみんな多かれ少なかれバカだろう。だから人生相談コーナーなんてものがあるわけで。いつか自分が匿名のバカな相談者になる日も来るかもしれないのだ。
そーゆー立場の互換性に対する想像力を持つ事は大事だと思う。素朴な話。


うう、文章がぐちゃぐちゃ。まあメモなので。