北杜夫『さびしい王様』『さびしい乞食』『さびしい姫君』

北杜夫が1970年代に書いた大人向け童話。三冊まとめて一気に読んだ。最初の2作のラストはとんでもなく尻切れとんぼなので、大団円を迎える三作目まで一気に読むのが精神衛生上よろしい。しかしぼんやりした尻切れの方が味がある気もして、大団円になると(メデタシメデタシなのに)なんだかさびしいってのもこの作者の味ですな。
地の文がですます調だけどわざとらしくなくて、上品な味わいがあるのがいいです。今、こういう文章を書くのは難しいかもなあ。ヒサクニヒコの挿し絵もかわいいですが、北杜夫はマンガファンなので、キャラクターは70年代の手塚キャラでイメージするとハマるような気がする。