バウハウス連続体

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GIGAZINEのこの記事
1960年代ブラウン製品のデザインが現在のApple製品にそっくり - GIGAZINE
を読んだ後、元ネタのGIZMODOの記事をなんとなく眺めたら
http://gizmodo.com/343641/1960s-braun-products-hold-the-secrets-to-apples-future
記事の深みが全然違うような(´Д`)いやまあいいけど。
GIGAZINEは写真紹介してるだけですな。でも元ネタのGIZMODOの記事は、Appleの製品とブラウンの製品の表面上の類似の背後にあるものにまで突っ込んでる。それはつまり、Appleのプロダクトデザインを率いているジョナサン・アイブが、ブラウン社のデザイナー、ディーター・ラムスのデザイン思想の後継者だってこと。表面上の類似より、コンセプトが通底してることが重要なのだ。
ジョナサン・アイブはインタビューやプレゼンにおいて、Apple製品におけるシンプルさと「誠実な」デザインの追求ってことを常に強調する。これはディーター・ラムスの「デザインの10の原則」の核心でもある。
ラムスの「デザインの10の原則」は以下の通り

良いデザインは・・・

    • 革新的である。
    • 製品を有用にする。
    • 美的である。
    • 製品をわかりやすくする。
    • 押し付けがましくない。
    • 誠実である。
    • 恒久的である。
    • あらゆる細部まで一貫している。
    • 環境にやさしい。
    • できるだけ少なく。

いわゆるモダニズムデザインってのがある。おおざっぱにいうと装飾は排して機能美を追求した合理主義的デザイン。1930年のドイツのバウハウスを源流の一つとするこのデザイン思想は、60年代のディーター・ラムス(や、その他大勢のデザイナー・建築家たち)を経て、様々に拡充されつつ現在のApple、ジョナサン・アイブにも継承されてる。目に見えるかたちの背後には目に見えないデザイン思想があって、その思想の歴史ってのもあって、現在も未来も過去の積み重ねの上にあるのよって話。あたりまえの話ではありますが。

GIZMODOの記事はそんな感じの視点で書かれてると思うけども、GIGAZINEの中の人は元ネタの見出し以外ろくに読んでないのでは(´Д`)いやまあいいけど。

*1:ガーンズバック連続体』ウィリアム・ギブスン(『クローム襲撃』ハヤカワ文庫所収)