ミラン・クンデラ『不滅』

不滅

不滅

クンデラ
最初読みはじめたときはその独特の書き方に読みとおせるのか、これ、とたじろいだが、腰を入れて読みはじめたら止まらなくなった。泳げるのかなと思っておそるおそる水に入ったらグイグイ泳げたような感じ。
ある姉妹をめぐる"愛の物語"が一応メインプロットといえるけど、そこに作者による膨大な思索、注釈、独り言、作中人物との対話、歴史上の人物の対話etcが繰り込まれていって果てがない。文章は思索的だけど常に皮肉やユーモアが入っていて、読んでいて楽しい。小さなエピソード、イメージ、思索が文章の中でいくつにも分岐し、終わりと始まりの間で響きあう。いやまあ見事な綾取りの連続だ。これはちょっとすごいねかなわないね。
小説は自由だ。