長嶋有『パラレル』『ジャージの二人』
- 作者: 長嶋有
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/06/26
- メディア: 単行本
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- 作者: 長嶋有
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/12/15
- メディア: 単行本
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会話がカギカッコの中に入っていたり入ってなかったりする。その効果は少女マンガのコマ割で枠線が解体されモノローグと背景が曖昧に溶け合っていくのにちょっと似てる。発言と内言があいまいになる感じ。あと文末の過去形と現在形が常に混在している。これは文の調子に繊細なヴァリエーションを与えると同時に、小説の語られる現在に揺らぎや幅をもたらしているっつーか、えーうまく言えないけど、ともかくこういう細かい工夫が面白いな、と思いました。小説を書く方法に対してとても意識的な感じ。描かれるのは基本的に世間から半歩ほど脱落した男のゆるやかな、力の抜けた時間なのだけど、それを描く為にかなり周到にいろんな要素を設計している。そういえば『ジャージの二人』の軽井沢の空間はRPGっぽい感じでもあるな。携帯の電波が入ってくるスポットのエピソードとか。このへんはゲームライター・ブルボン小林(長嶋有の別名)の顔も見えたような気がした。